菜と花

名は体を表した命名

菜の花 菜の花畠に入り日薄れ 見わたす山の端霞ふかし…
文部省歌『朧月夜』に歌われる菜の花は、アブラナ科の植物の総称。4枚の花びらが十文字に着くことから、十字架植物とも呼ばれます。
私たちに一番馴染み深いあの黄色い菜の花は、アブラナ(油菜) という植物。別名ナタネ、種子の含油量が約40%もあり菜種油の原料となります。
キャベツや白菜、大根を、葉や根が育っても収穫せず置いておくと、やがて薹(トウ)が立ち、花をつけます。(茎が伸びて葉や根が硬くなり食用に適さなくなる。)赤筋大根などはふちが赤紫色の鮮やかな花をつけますが、これらも実は「菜の花」の一種です。
アブラナ科の植物の花は全て「菜の花」で、他にもカブ、ブロッコリー、カリフラワー、コマツ菜、青梗菜(チンゲンサイ)、ミズナ、野沢菜などがあります。 ちなみに、花屋さんで売られている「菜の花」はチリメンハクサイを切花用に改良したものです。そもそも「菜」とは食用にできる茎や葉のこと。「菜」の「花」とは、名は体を表した命名といえるでしょう。
朧月夜の他にも多くの文学作品に詠まれ、『いちめんのなのはな いちめんのなのはな』で始まる山村暮鳥の詩「風景」や、与謝蕪村の句『菜の花や 月は東に日は西に』をご存知の方も多いでしょう。春を告げる黄色い花びらが一面風に揺れる風景は、日本人の郷愁を呼び起こすようです。