八王子ラーメン横丁 弘富

見た目に典型的な八王子系、ラーメン五百円。

見た目に典型的な八王子系、ラーメン五百円。

ラーメンの激戦地八王子にラーメン店は数多くありますが、その中でもラーメン好きの目に適うお店は一握り。
今回は、八王子のラーメン愛好家の中でも文句なしの人気店「弘富」を訪れました。 

ラーメン店でもその他の飲食店でも一切修行していないという店長さん。
日々の努力の積み重ねと、他店の食べ歩きを続けて、今の味に。

 

色々な種類の魚節を使い、かつ昆布のまろやかさで調和の取れた、魚介系のスープ。化学調味料は一切使っていない。 
食費が限られる学生さんに、少しでも低料金で提供したい、ということでこの料金。学生さんは更に百円引き。安い。

いわゆる八王子系、刻み玉葱をトッピングしたラーメン。このラーメンをお手本にしたお店も二〇年の間には数多くあったことでしょう。

 

 

JR八王子駅より、豊田方面へ線路沿いに徒歩7分。「上煮干鰮」の看板が目印。

JR八王子駅より、豊田方面へ線路沿いに徒歩7分。「上煮干鰮」の看板が目印。

一口飲んで感じられる魚介系の強いスープには、何種類もの魚節や煮干、それらの味の突出を抑えてまろやかにする昆布などが使われています。豚骨・ゲンコツがそこにコクを加え、人参、玉葱、ニンニクといった香味野菜で味を整えています。じっくり煮込んだ、澄んだ色のスープ。

「焼干」という語を、今回初めて聞きました。「煮干」は文字通り煮て干すのですが、「焼干」は焼いて干したもの。
鰯の一つ一つを串にさして炭であぶり、手間ひまを掛けて作られています。弘富では、青森県下北産の焼干を元ダレに使用しています。 

中細ストレートの麺は、製麺所に配合を特注しています。その日の湿気等の影響で麺にムラが出ません。 
トッピングはオーソドックスに、柔らかいチャーシュー、味付けのしっかりした玉子、手でさいたメンマ、
そして、八王子系ラーメンの特徴である刻み玉葱。細かすぎず、歯ごたえの残る程度に大きさを揃えてあります。

 

カウンターのみの店内は、お客さん同士の仲も近くしてくれる。

カウンターのみの店内は、お客さん同士の仲も近くしてくれる。

弘富のお客さんは、圧倒的に常連さんが多いそうだ。
「これが、選んだ訳でもないんだけど、本当にいい人ばっかりでねぇ。お客さんに恵まれてるんだよ」
お客さんにしてみれば「店長さんがいい人でねえ」ということになるのだろう。
忙しい日には、常連さんがお冷を運んだり丼を上げ下げして手伝ってくれる。
狭いから、と店長さんがおっしゃる店内も、お客さん同士顔を見知って仲良くなるには、ちょうど良い広さらしい。

 

 

店長さんがお友達からいただいたという猫の置物が出迎える。手にしたお皿に小銭がジャラジャラ。 「店が儲からないからお客さんが恵んでくれるんですよ」と笑顔で店長さん。「結構まとまった金額になるんで寄付させてもらってます」 本当にいい方でした。

店長さんがお友達からいただいたという猫の置物が出迎える。手にしたお皿に小銭がジャラジャラ。「店が儲からないからお客さんが恵んでくれるんですよ」と笑顔で店長さん。「結構まとまった金額になるんで寄付させてもらってます」 本当にいい方でした。

開業以来二十年。
これまでには何度か値上げもした、というお話を、すごく申し訳なさそうな顔でされた店長さん。 

儲からないですよ。お客さんが来ない時には、なんか悪いことしたかなーと思いますよ。飲食店は大変ですよね。そんなことを、人当たりのいい笑顔でさらっとおっしゃった。 

値段を上げれば利益を増やすのは簡単なこと。特に学生さんを応援したいから高くしたくない。
人のいい店長さんのお気遣いがまた人を呼び寄せるようです。

 

一口メモ
・麺 中細ストレート麺
湿気などで麺にムラが出ないのが今の製麺所の決め手。配合の割合は特注で、色々融通をきかせてもらえるのだそうだ。
・具 チャーシュー、メンマ、味玉、刻み玉葱(ラーメン)
・スープ 豚骨、ゲンコツ、各種魚節(鰹、鯖、うるめ鰯、鯵)、煮干、昆布、玉葱、人参、香味野菜 他
元ダレに青森下北産の「焼干」を使用。
鰯漁を始め漁業が盛んな銚子市近くの千葉県白子町に、煮干屋をしているご親戚がいらして、新鮮なものをお安く仕入れられるのだそう。
・系 列 一店だけの独立店。
刻み玉葱ののった八王子系。
・一人当りコスト 五百円強
八王子市街地から近く二十年という実績もあり、八王子市内でも有数の人気店。
お店を始める前の十年間、営業をしていらしたという店長さんは、とてもいい笑顔の方。

 

壁に掛かった魚の絵。きれいな赤がアクセント。

壁に掛かった魚の絵。きれいな赤がアクセント。

弘 富
場所 八王子市明神町3-11-1≪現地周辺地図
アクセス JR八王子駅歩7分、京王線京王八王子駅歩10分
TEL:0426-45-5011
営業時間 11:00~19:00(スープ、麺がなくなり次第終了)、
定休日 日曜定休

 

※この記事は平成18年1月に書かれたものです。