八王子ラーメン横丁 敏々亭

 

ラーメン五百円。この「きちんと」感、好みはあるだろうが、ここのこだわりチャーシューには文句のつけようがない。最初「しょっぱめかな」と感じたスープも飲み干す頃にはクセになっている。玉葱の甘さと辛味のバランス、味付濃い目の手裂きメンマも麺に合っている。

ラーメン五百円。この「きちんと」感、好みはあるだろうが、ここのこだわりチャーシューには文句のつけようがない。最初「しょっぱめかな」と感じたスープも飲み干す頃にはクセになっている。玉葱の甘さと辛味のバランス、味付濃い目の手裂きメンマも麺に合っている。

いわゆる八王子系ラーメンとは。 
澄んだ醤油ベースのスープ。表面を覆う透明な油。一般的に鰹節に代表される魚介系を効かせ、和風。おおよそ細麺。刻み玉葱。低価格。

「そういうのは、後から人が言ったものなんだよね」 
昨今のラーメン本やテレビのランキング番組の流行で、ラーメンへのレッテル貼りが常識化した。
が、作る方はそんな分かり易い枠組にこだわるつもりはなく、周辺地域のラーメンの影響は多分に受けつつも、自分がおいしいと思うものを目指す。

 

 

八王子のラーメンの激戦地の一つ、西八王子。駅から徒歩五分、八王子系らしい八王子系ラーメンが食べられる、一五年間続く名店。

八王子のラーメンの激戦地の一つ、西八王子。駅から徒歩五分、八王子系らしい八王子系ラーメンが食べられる、一五年間続く名店。

「もともと和風が強いものとは限らないんだよ、八王子系は」 
澄んだ醤油スープ、刻み玉葱、低価格。典型的八王子系ラーメン。 
ただし魚介系は控えめ。和風の突出を嫌うお客さんも多いため。豚骨中心でまろやかに仕上げる。 
 八王子出身の店長さんは、ブーム前後の八王子系ラーメンのいきさつにも詳しいようだが、「そんなことはないよ」と謙遜される。

 

 

初めてお会いしたとは思えないほど気さくな店長さん。カメラを向けると、この笑顔。

初めてお会いしたとは思えないほど気さくな店長さん。カメラを向けると、この笑顔。

材料ほぼ秘密、こだわっている点は「ラーメンに関しては全部こだわってるなぁ」。言語明瞭な店長さんにあって、敏々亭の麺について簡単に説明する言葉を引き出せない。 
もともと、簡単な言葉でくくれるものではないのかもしれない。同じラーメンという食べ物を各店がおいしく作ろうと努力する過程で各店の工夫の違いが個性となって現れる。 
麺作りの大局は説明するまでもないし、各自の個性である自店の工夫の部分は、簡単に人に教えられない。

 

一口メモ
・麺 細ストレート麺八王子の有名店 尾張屋製麺製。
・具 チャーシュー、メンマ、ノリ、刻み玉葱チャーシューは肩ロース、国産豚生肉のみ使用。外国産・冷凍物は一切使わず、風味が落ちないよう注文を受けてから切分ける。厚手で程よい柔らかさ、素材の良さが生きた味と食感。
・スープ(+タレ) 豚骨主体、醤油ベース。魚介(鰹節等)、香味野菜(人参、玉葱等)、昆布(北海道産) 他
・系 列 独立店
八王子系の某有名ラーメン店で二年間ほど修行。その後は独自の改良を重ねている。
・一人当りコスト 五百円~「企業秘密」または「普通に努力している」と繰り返した店長さん、チャーシューに関してだけは「絶対国産の生肉だけ」と、声を大にしてのこだわりよう。

 

 

味のある木製のお品書き。

味のある木製のお品書き。

ちなみに、お勧めを伺った際、「ネギラーメンかな」「つけ麺が夏は出るね」「やっぱりラーメンだよね」と、一通り悩まれた後で、結局は「全部がお勧めなんだよね」と結論。 

 

テーブル席が数席とカウンター、テレビに漫画。いかにもラーメン店らしい庶民的なお店。落ち着く。

テーブル席が数席とカウンター、テレビに漫画。いかにもラーメン店らしい庶民的なお店。落ち着く。

今回は無理言って一つ選んでいただき、ラーメンを取り上げることに。 
ここでは詳しく掲載できなかったが、お勧めの一つネギラーメンは、生のネギをごま油と豆板醤で和えてあり、夏の食欲増進にも良さそう。 
つけ麺のスープは同じ醤油ベースながら全く別の調理法。一般的につけ麺は、甘味・辛味・酸味のバランスが重要。たまたま知人との会話でいい唐辛子を仕入れられることになったことから、メニューに加えられた。ラーメンよりも魚介類の種類を増やし、使用比率も高めにしている。

 

他店の食べ歩きはしない。
他店でお客さんに出くわすのも恥ずかしいのだが、もう一つ大きな理由が。 

すぐに影響を受けてしまうから。

もともとラーメン好きの店長さん、食べ歩けば好みのラーメンにも出会うだろうし、味が引っ張られてしまう。 
店長さんが究極のラーメンとして目指すのは、店長さん自身のイメージの中にある、理想のラーメン。 様々な要因や煮込みの時間帯で日々刻々微妙に味の変わるスープ。今日は理想に最高に近づけた、と思うと、次の日にはもう遠ざかっている。 
道のりは遠く、いまだ修行中、と店長さんは語る。到達点に達するその日まで、過程を見守りながらついていくのも、悪くないと思う。

 

敏々亭
場所 八王子市台町4-40-8 《現地周辺地図
TEL:042-626-7543
(中央線西八王子駅徒歩5分)
営業時間 11:00~20:00(売切次第終了)
定休日 毎週月曜日 定休

 

※この記事は平成18年9月に書かれたものです。