たまの探訪記 今熊山

今熊神社遥拝殿付近から望む今熊山。4月中旬から5月に掛けて一面にミツバツツジが咲き誇る。

今熊神社遥拝殿付近から望む今熊山。4月中旬から5月に掛けて一面にミツバツツジが咲き誇る。

植物が好きな方はもうご存知かと思います。八王子市内でも唯一のミツバツツジの名所が、ここ今熊山です。 
ツツジ課の植物の中でも独特の美しい紅紫色をしたミツバツツジには、ファンも多いようです。 
今熊山は山頂に今熊神社をいただく閑静な山。頂上まではバス停「今熊山登山口」から徒歩一時間弱。 

山頂の本社へと続く階段。写真の左手には今熊神社遥拝殿。

山頂の本社へと続く階段。写真の左手には今熊神社遥拝殿。

バス停から二十分程の所に板金屋さんがあり、道が二股に分かれます。 左側の道を二十分ほど行くと、今熊神社の遥拝殿があります。ここがミツバツツジの絶景ポイントになっています。

「遥拝」を辞書で引くと、「遠く離れた所から神仏などをはるかにおがむこと。」今熊神社の遥拝殿は、山頂に建つ今熊神社本社を見上げる位置に建てられています。
遥拝殿まではお車でも来る事ができます。本社に比べて建物も新しく、美しい神社です。

 

金剛の滝の下流、雌滝。滝の右手に見える洞窟は、修験者によって彫られたもの。ここを通って険しい山道を登って行くと、雄滝も見ることができる。  雄滝に沿って遡っていくと、中ほどにまつられている金剛像が、滝の名称の由来。雨の日やその直後は増水のために足場が悪く、危険。

金剛の滝の下流、雌滝。滝の右手に見える洞窟は、修験者によって彫られたもの。ここを通って険しい山道を登って行くと、雄滝も見ることができる。雄滝に沿って遡っていくと、中ほどにまつられている金剛像が、滝の名称の由来。雨の日やその直後は増水のために足場が悪く、危険。

金剛の滝へは、遥拝殿駐車場にお車を残したまま板金屋さん前の二股に戻って右側の道を行き、変電所の南西端辺りから出ている小道を十分ほど、「金剛の滝0.4㎞」の案内の通りに進むのが一番楽です。 
足に自信のある方は、今熊神社方面からも横道がありますが、あまりお勧めできません。

ミツバツツジは、他のツツジ科の植物よりもやや早く花をつけ始める。

ミツバツツジは、他のツツジ科の植物よりもやや早く花をつけ始める。

今熊山(いまくまやま)
八王子市内でも北西端に位置する、海抜505mの山。4月中旬~5月初旬に掛けて、一面のミツバツツジが見頃を迎える。八王子88景の一つで、市の指定文化財にも指定されている。
ミツバツツジ(三葉躑躅)
ツツジ科ツツジ属の落葉低木。枝先に葉が3枚ずつ輪生するのでこの名がついた。
4月、若葉よりも先に多数の花をつける。花びらは一枚で、漏斗型に5裂。色は鮮やかな紅紫色。

 

今熊山頂付近にある今熊神社。遥拝殿から歩くこと二十分弱。参道では鳥の声が意外なほど近くから聞こえてくる。小さな石碑が幾つも建てられ、修験者も多かったであろう往年を思わせる。

今熊山頂付近にある今熊神社。遥拝殿から歩くこと二十分弱。参道では鳥の声が意外なほど近くから聞こえてくる。小さな石碑が幾つも建てられ、修験者も多かったであろう往年を思わせる。

今熊神社の歴史は古く、第二七代安閑天皇(五三一~五三五年)の時代に疫病や飢饉が起こったため熊野本宮大社を勧請したと言われます。 
安閑天皇妃が行方不明になられた際、今熊神社に祈願したところ無事見つかったという伝説があります。また、江戸時代、亡くした人の名前を呼ぶともう一度会えるといわれていました。このため「関東のよばわり山」と称され、行方不明者探索にご利益がある霊山とされています。

 

今熊山頂。撮影した頃は、桜の花がちょうど満開。道辺にもすみれなど小さな野花が散り敷かれ、まるで小花柄の絨緞が敷いてあるよう。  遥拝殿の付近には竹林があったり梅林や桜の木も多く見られたりと、ミツバツツジの他にも、季節ごとに豊かな自然を感じる事ができそう。

今熊山頂。撮影した頃は、桜の花がちょうど満開。道辺にもすみれなど小さな野花が散り敷かれ、まるで小花柄の絨緞が敷いてあるよう。遥拝殿の付近には竹林があったり梅林や桜の木も多く見られたりと、ミツバツツジの他にも、季節ごとに豊かな自然を感じる事ができそう。

山頂にたどり着くと、一体だけ残った狛犬が出迎えてくれます。その狛犬も、足の部分が崩れて金属で補強してあるのが痛々しい姿。 
神社の周囲に転がった、崩れた石碑。最近では珍しい組み方の荒い石段。今熊神社周辺は至る所に風化が作用を及ぼし、この神社の過ごしてきた年月を感じさせます。

 

ここから「金剛の滝下」という表示に従って横道を降りていってしまうと、足場の悪いかなり急な坂道が延々続いている。

ここから「金剛の滝下」という表示に従って横道を降りていってしまうと、足場の悪いかなり急な坂道が延々続いている。

その道の途中には「金剛の滝」への距離を示す案内板もあるのですが、うっかりこの辺から金剛の滝を目指してしまうと更に大変。修験者並の試練を味わう事になります。 
要所要所に足場を打ってあるのですが、その足場も少しずつ進む土砂崩れで隠れがち。どこに足を置いていいのか分からない急な斜面を、つかまる場所を探しながら降りて行くことになってしまいます。 
また、雨の日は、足場も悪いし土砂崩れの危険も考えられますので、残念ですが登山自体をお天気の日まで延期した方が良いでしょう。

 

近くにかなり大規模な東京電力の変電所が。人気のない柵の中には鉄塔が建ち並び、縦横に電線が張り渡された様子は、未来都市を想像させる。

近くにかなり大規模な東京電力の変電所が。人気のない柵の中には鉄塔が建ち並び、縦横に電線が張り渡された様子は、未来都市を想像させる。

昭和一七年、山頂の社殿が火事により焼失。昭和五七年になって現在地に再建されました。 
その際に「今熊太鼓の大太鼓」は、なんとか焼失は免れたものの、皮が破れ胴部が傷んでしまいました。 
後の和太鼓集団「武州今熊太鼓」のメンバーが修理を申し入れ、五五年に太鼓保存会として正式に認められて、今では各地のイベントにも出演する活躍ぶりを見せています。

今熊神社【今熊大権現】
第27代安閑天皇の頃、紀州(現和歌山県)熊野本宮大社を勧請。
熊野本宮大社は崇神天皇65年(紀元前4年)創始、全国3,000以上ある熊野神社の総本山。
今熊神社の御祭神は、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、月夜見命(つきよみのみこと)。

今熊神社には伝統的な獅子舞も伝承されており、市の無形文化財にも指定されています。
毎年八月、三一日を除いた最終日曜日に、三匹の獅子による舞の奉納が行われています。

 

今熊神社 遥拝殿
場所 〒192-0151
東京都八王子市上川町19 ≪現地周辺地図
TEL TEL&FAX:042-654-5201
交通 (五日市駅行西東京バス 八王子駅 ~ 今熊山登山口停※下車約30分)
※4月より「小峰停」より改名
ここから山頂までは徒歩約20分。

 

※この記事は平成18年5月に書かれたものです。