今年の山の紅葉は、どこもイマイチだった。
度重なる台風と長雨の影響で、赤く染まるナナカマドやミネザクラ等の葉が、
染まる前に枯れ落ちてしまったせいだ。
しかし、宮城県、秋田県、岩手県をまたがる山、栗駒山の紅葉を観たくて、
何か月も前から宿と新幹線を予約していたのだから、やめるわけにもいかない。
しかし予定の10月の三連休は、予報では三日とも雨。
気分もどんよりしてくるのだが、山の天気は気まぐれ。晴天に見せかけて、
突然嵐になって死にそうな思いにさせられることもあるが、霧に包まれて
景色が楽しめない時に、突然霧がはれて素晴らしい景色を見せてくれる時もある。
一日目、強い雨。二日目は小雨と濃霧の中、カッパを着て挑むが、
稜線の強風で前に進めず、途中で敗退。
三日目の最終日、前日より強い雨だったが、懲りずにまた挑戦。
ダウンを着た上にウインドストッパーのジャケットを着てもまだ寒い。
視界ゼロだが、今度こそはと淡い期待を抱きながら、霧の中に突入。
とりあえず頂上に着いたが、頂上での写真はカッパのフードを深々とかぶり、
霧で濡れた遭難者のような哀れな写りになった。
標高1627mのそれほど高いわけではない山だが、そこは東北、頂上の
標識に着いた霧の露は凍っていた。あまり寒さに早々と下山開始。
またいつか来ればいいさと諦めながら一時間ほど下ったその時、
目の前の霧が突然引いていった。目の前に鮮やかな光景が広がってきた。
振り返ると、今下りてきた道も燃えるように染まっていた。
頂上はまだ霧に覆われていて見ることができないが、素晴らしい景観だった。
栗駒山は秋には赤く燃える山だった。諦めていたけれど、
最後に姿を見せてくれて有難う。
管理本部 田倉 一美