谷川岳は二つのピークを持つ双耳峰だが、いずれも2000Mにも満たない。
それでも気候の厳しさから、1500M地点から上は森林が育たず、急峻な岩壁を持ち、
紅葉時期の赤く染まったナナカマドと岩場の対比は素晴らしい景観だ。
この日の谷川岳の紅葉は色とりどりで鮮やかなまさに錦秋だった。
山頂からの景観をスマホで撮って山好きの父に送ると、
「オジカ沢ノ頭だ」とすぐ返信がきた。
やけに詳しいなと思っていると、
「学生時代、先輩二人が遭難した場所だから。厳冬期にドカ雪に遭った」とのこと。
谷川岳は「魔の山」、「死の山」などの異名を持つ。山での死者数の多さが世界一で、
ギネスにも載っているらしい。
死亡事故が多いのは、クライミングルートがあることと、
気候が変わりやすいことにあるが、登りやすい一般ルートも多くある。
あまりに色鮮やかな風景に立ち去り難くなり、頂上でしばらく留まっていた。
こんなに紅葉のいい時に出逢えるのは滅多にない。紅葉の時期になれば、
雪が降ってもおかしくない気温となり、雪が降ると葉が傷んでしまい、
紅葉が台無しになってしまうからだ。
森林限界での紅葉は、下界の紅葉のような派手さはないのかもしれないが、
この壮大な山々が鮮やかに彩られている風景は、ここでしか味わえない。
最高の紅葉を見せてくれた山に感謝。
管理本部 田倉 一美