姉のこと

私には4才違いの姉がいます。
姉は小さい頃からおっとり のんびり屋で性格も正反対の姉妹です。

私は 片付けが好き。余分なものはすぐ捨ててしまう。
姉は なんでもとっておく、

「また使うかもしれないじゃない・・」と。

よって家の中は 物が溢れかえっている状態で たまに遊びにいくと
私は片付けたくてしょうがなくなってしまう。

NPOの動物愛護団体から引き取った
“自閉症”の犬 レッツが一部屋を占有している。
レッツはお客さんがくると 急いで部屋の隅っこの箱の中に隠れる。
私はわざと 着いたとたんに

「レッちゃん!元気-?」

と箱の中に手をつっこんで
震えている15キロの中型犬を引きずりだそうとする。

「レッちゃんが怖がるからやめてよ!」

姉は、過保護で だからレッちゃんの為にもならないんだと
私は勝手に決めてレッちゃんを構う。
二人でお茶を飲みながら話していると いつの間にか背中に気配が。

「あっ出てきた。不思議ねェ お客さんには絶対慣れないのよ」

私は 充分引きつけてから
いきなりレッちゃんをぎゅーっと捕まえてやる。
レッちゃんは 固まってしまって 絶対目を合わせない。

二人とも京王線沿線に住んでいるため
法事などで出かけるときは待ち合わせする。
母に 今度は絶対、時間通りに来なさいよ!と念を押される。
姉と二人だとしゃべっているうちに必ず乗り越すからだ。
乗り換えだから気をつけなきゃと二人で言っているのに

「あれっ・・ここどこ?」
なぜだか まともに着いたことが無い。

姉からとんちんかんなメールが来る。
「何の事?」電話をすると「あっ相手を間違えてメールしちゃった」
用事はなかったのに

「じゃーまたね」と切るともう2時間もしゃべっていた。

姉と二人 すぐに幼い頃の姉妹に戻ってしまう。
長い人生の時間の中で悲しいときには一緒に泣いてくれた。
笑いのツボも一緒で 面白い話は 姉に話すと10倍笑える。
姉は 庭の梅で梅酢を作ってくれる。
今年も「出来たよ-」のメールを待っている。

不動産事業部 課長 田中 一美

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