板門店へ

外気は氷点下。痛い程の冷気の中、
軍事境界線は冬枯れの景色でした。
一直線に北へ伸びる木の橋は“帰らざる橋”
南北の捕虜を交換する橋は、厳しい表情をした兵士達の姿とともに
首都から50キロという近さにありながら境界の38度線で分断された
隣国の現実を確認するものでした。

1953年より60年近い年月
同じ民族でありながら親類・知人の消息も知れず
ひとたび緊張状態になれば
生命の危険にも晒される隣国の事情を思えば
国を隔てるイムジン河に群れる渡り鳥に自由に行き交うことの
憧れを載せた歌にも胸の詰まる思いがします。

北朝鮮の脅威に備え
韓国には徴兵制があることは広く知られていますが、

「すべての国民は法律の定めるところによって
国防の義務を負う」

と憲法により
現役60万人の20代の若者が2年間兵役に就くことの現実の重さ。

韓国では、兵役を終えることで
成年男子とみなされ社会的に認知されると言われます。

軍事的な部分で国内経済を支えているところもあり
兵役を終えた者同士の連帯感と
愛国心を養う意味で肯定的な部分もあるのでしょう。

他国の人間が一概に

「兵役が無くて 自由な国に生まれてよかった。」

というのは浅薄な考えだと思うのですが、
韓国を覆う北朝鮮の脅威を思わずにはいられません。

空港で搭乗手続きを待ちながら
ガイドさんと北朝鮮にいる拉致被害者の話になりました。

“北にいる日本人を取り返す事のできない
日本の政府の消極的な交渉に怒りがある。”

「韓国では公になっていないが毎年多数の人間が消えている。
それを公表しないのはやはり韓国政府の責任だ。」

“ソウルだけで東京と同じ人口が密集しているということですが
北の攻撃に対してあまりに無防御のように思うが、
人口を分散させるなどの計画はないのか“

「大統領の任期が5年と短いので
大胆な計画を立てない。韓国政府の人間は無難な政策のみに偏る」

“GNPが20位までに韓国の経済が発展されたということだが
地価の急上昇で住宅の取得が困難な状況だと思われるが。”

「ソウル以外の区域は、利便性もなく人口も少ない。
地方の発展を促す政策に遅れがある。
人口を地方に分散させなければ人も車の増加も限界だと感じる。」

“3日間でしたが、貴重な経験ができました。
4年前と比べても韓国の発展は素晴らしいと実感しました。
早くに南北の統一が為される日が来ることを祈ります。”

飛行機に乗って2時間の隣国。
韓国の海岸線を離れたと思ったら
もう日本の山が雲の中から姿を現す。
整地された街並み 畑 肥沃な美しい国と思わずにいられない。
それでも脅威はこんなに近くにある。

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不動産事業部 課長 田中 一美

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