12月10日より、2泊3日の韓国研修旅行に
行かせていただきました。
個人ではすでに数回韓国へ行っていますが、
エイトの仲間と一緒の旅行は初めて
(箱根は☆女性社員限定☆でしたので…)のことで、
新鮮な気持ちで韓国へ降りたちました。
この研修旅行では韓国と北朝鮮との境に設けられた
【板門店】への視察が目的で、折りしも、北朝鮮からの
砲撃事件があったばかりという緊迫した国際情勢の中で
訪問がかない、韓国の厳しい一面を垣間見ることができました。
個人で行く観光であれば、歴史的建造物を見て、
キムチとお粥とサムゲタンを食べて、
ミョンドンやインサドンで買い物をする…という、
日本語も通じる定番観光コースを巡るでしょう。
いまや立派な観光大国の韓国のことですから、
それだけでも大満足の旅行になります。
しかし、韓国という国を少しでも理解しようとした場合、
徴兵制があり現在も小規模ながら戦闘行為が実際に行われている
ということを忘れてはいけないでしょう。
以前韓国では金大中大統領の始めた【太陽政策】と呼ばれる、
北朝鮮へ積極的な支援を行い、文化国流を深めることで親交を
深めようという政策が行われていました。
しかし、民意の後押しを受け就任した現在の李明博大統領からは、
この方針は転回されてきています。
これにより、極力軍事力に頼らず民族融和を進めてきた
韓国政府の政策は対北朝鮮外交において緊張感を増していることは
想像に難くありません。
以前韓国を訪問した際にガイドの方が
「支援と交流をもって進めてきた外交に、
度重なる北朝鮮の問題行動を増長させたという
反省をするとともに、進まない民族融和への苛立ちが募り、
国中の人が怒っています」と、
「私たちは、北朝鮮にうんざりしています」と
少し怒った様子で話していたのを思い出します。
(記憶では李明博大統領の就任はこのすぐ後だったと思います。)
もとはひとつの国を他国の介入を受けて分断し、
家族・友人関係なく現在では
軍事力を向ける相手になってしまっていることは、
本当に悲しいことです。
できることなら、
力ではなく対話をもって友好を結びたいと北朝鮮の人も
韓国の人も思っていたのではないでしょうか。
その努力と期待が、政治的主導者の行為によって
すべて無に帰してしまったとは思いたくないものです。
今回訪れた板門店では、
20歳前後の若者が国防の先頭を担っていました。
彼らは北朝鮮をどのような国・相対している北朝鮮の兵士を
どのような人だと思って、
日々、国境の線上から目の前を見つめているのでしょうか。
もしかしたら、
反対側から韓国をにらんでいる兵士が親戚かもしれない…
もしかしたら、無表情を装って韓国へ進行する機会を
耽々と窺っているのかもしれない…もしかしたら、
話をしてみたいと思っているのかもしれない…
韓国の人々は、北朝鮮の人を見たことはないといいます。
日本のように、北朝鮮の映像がニュースになることもないそうです。
以前イスラエルとパレスチナの18人の子供たちのインタビューを
集めた本(※)を読んだとき、
「遊んだことも話したこともない」
「あちらの子供も、いい子がたくさんいるだろう」といっているのに、
最後には
「彼らは憎い相手で、
これまでやられた分だけやり返さないといけない。
話しても通じないからすべての人々がいなくなるまで戦うべきだ」
と、ほとんどの子供が思っていることに驚きと悲しみを感じました。
大人や周囲の教育、思い込みを正す機会の欠如があるとしても、
相手を実際に知らないからこそ、ここまで歩み寄りが
難しくなったのではないかと思います。
情報を統制され、非武装地帯によって
完全に分断された北朝鮮と韓国も、
イスラエル・パレスチナ問題と問題の根底は違っても
環境は似通った部分が多くあります。
人々の心が完全に離れてしまわないうちに、
軍事力に頼った外交ではなく、
少しでも両国の交流が深まり、人の心が近づく外交・交流を持って
未来を築いて欲しいと思います。
人と物と情報が自由に移動できる日本の素晴らしさと
【平和ボケ】できる社会のありがたさを感じ、
日本に生まれたことに感謝します。
(※)三つの願い●パレスチナとイスラエルの子どもたち
デボラ・エリス=著 もりうち すみこ=訳
http://www.saela.co.jp/isbn/ISBN978-4-378-03402-7.htm
建物総合事業本部 山田真紀