1月18日(金)と19日(土)に行かせて頂いた知覧研修のパート2です。
今回は研修2日目のお話をさせて頂きます。
2日目の研修は、
朝6:30から始まりました。
薄暗い中バスに乗り込み、三角兵舎、掩体壕、防水槽、給水塔、護国神社などを見て回りました。
その中でも一番印象に残っているのは、三角兵舎です。
三角兵舎は、出撃を迎えた隊員が最後の夜を過ごす場所です。建物はなかったものの、建物が建っていた痕跡はあり、そこには灯篭が建てられていました。その灯篭に1本のマッチで火をともし、出撃された先人に黙祷をささげました。この灯篭には「このなみだむなしく たくわえてもらすときなし」と刻まれています。
この言葉からも分かるように、当時は泣きたくても泣けない状況だったのだと思います。その状況を想像すると、自分が涙するつらさは本当のつらさではないような気がします。
また、研修の移動中は常に駆け足で行いました。これにも理由があり、「隊員さんたちは時間を無駄にしないように常に駆け足で行動していた」からです。
早朝の研修を終えたら、
旅館に戻って朝食を頂きました。左の写真が朝食です。
この朝食も当時の食べ物を
現代風に再現したものです。
朝食を食べる前に旅館の方からお話がありました。
当時は食べ物があるだけでも幸せだったこと。ご飯を頂く場所は実際に特攻隊の方が過ごした場所であること。トメさんはこの場所を大切にしていたこと。たくさんのことをお話してくださいました。そのお話の中で、「この朝食にはあるものが足りません。なんだと思いますか。」と言われました。社員の1人が「お箸がないです。」と答えると、「そうです。当時はお箸を使わず、手で食べていました。当時の隊員が何を思いながらご飯を食べたのか、想像しながら召し上がってください。」と仰いました。手で食べ物をつかむなんて経験は、今じゃほとんどできません。お行儀が悪いとされているからです。しかし、この場では手を使い、食べました。どの食べ物も素材の味を感じられ、普段自分が食べている物とは全く違い、当時の食べ物事情が少しだけ知れたような気がします。
食事の後は女将さんの講話でした。自分が知らなかったこと、間違って認識していたことなど、多くを学ぶことができました。その講話の中で、「道は終わりなきもの 道は極めゆくもの」という言葉がありました。シンプルな言葉ではありますが、とても大切な言葉だと感じます。また、「あなたにとって『幸せ』とは何ですか?」と質問されたとき初めて、自分の幸せについて考えました。私は「笑えることです」と答えました。自分の幸せが何かを確認することで、幸せへの道のりが少し短くなったように感じます。
講話後は、お世話になった旅館の方に御礼を言い、知覧特攻平和会館に向かいました。
道中に弊社が建てた灯篭を見に行きました。当初は、特攻勇士の数1036名分の慰霊灯篭を立てる計画だったそうですが、実際はもっと多くの方が献灯されているそうです。私もいつか自分の名前で献灯したいです。
10分ほどで平和会館につき、そこからは各自見学しました。有難いことに、音声ガイド案内機を準備して下さり、各展示物の詳細な説明を聞くことができました。数ある展示物の中で目を引くのはやはり、特攻隊員の顔写真と遺書です。一人一人の顔写真には、出身地と年齢が記されていました。その中で、私と同じ故郷で同年齢の方がいました。たった70数年前の故郷で、未来の日本の平和を願い散っていた方がいるのを知り、特攻隊がより身近なものになりました。写真を見るとどの写真も笑顔がたくさんありました。なぜ、明日死ぬと分かっているのに笑顔になれるのか。私はそれがずっと不思議でした。平和会館を見学して、ようやく答えにたどり着きました。あくまでも私の憶測なのですが、彼らは日常的に周りの人への感謝を忘れず、1日1日を後悔がないように生きていたからだと思います。あの笑顔が心の底からのものなのか、作ったものなのか真実は分かりませんが、私も彼らの生き方に倣おうと思いました。何度来ても涙なしでは見られない平和会館は、私に「生きる」ことを教えてくれました。
見学後に、旅館で頂いたお弁当を食べ、東京に戻りました。
今回の研修で、自分がどれだけ恵まれた環境で暮らしているのかが分かりました。普段「あれがない」「これはいらない」と言っていますが、「あれがないから、こうしよう」「これはまだ使えるかも」と思うようにしようと思います。また、周りへの感謝は常に忘れずにしたいです。普段は照れて感謝の気持ちを素直に伝えることができず、距離が近い家族や恋人ほど、素直になれません。そんなのは全て自分の都合ですし、「ありがとう」と言われたら誰だっていやな気持ちにはならないので、積極的に「ありがとう」を伝えようと思います。
今回の研修に携わって下さった方、研修中の業務をカバーして下さった方、本当にありがとうございました。この気持ちは、何らかの形で皆様にお返しできればと思います。
米軍・海外事業部 花田優香