私の母校に「北泉寮」という東京都の有形文化財に指定されている由緒ある建物があります。築127年、鍋島直大侯爵の邸宅として明治25年(1892年)頃、永田町の旧首相官邸内に建てられ、後に三井財閥が買い取り、別荘として92年前に拝島に移設したものです。
http://www.keimei.ac.jp/hokusenryo_kokai/
釘を一本も使わずに建てられていて、分解して移設したと子供の頃に聞いた記憶があります。当時その建築方法を実施できる大工さんがまだ日本にいらしたので移設できたけれど、現在ではもう、その方法を実施できる大工さんもいらっしゃらないようです。
私が小学生だった時は、沖縄や長野や都内などの遠方から来ている生徒の寮でしたが、現在は同窓会やPTAの活動などに利用されています。
ところが、老朽化が進み、危険ということで、今年いっぱいで立ち入りできなくなります。
指定文化財なので、国から修繕費などの補助金もあったり、現校長先生も、教育庁と掛け合ってくれたり、色々とご尽力いただいたようなのですが、生徒数も減っている昨今、維持が難しくなっているようです。
このニュースを聞いた時、自分も一気に年を取ったような寂しい気持ちになりました。
もうひとつ、伏見庭園寮という建物もありましたが、やはり老朽化ということで昨年、取り壊されて今は更地になっています。在学中は独身の先生の宿舎、兼、男子寮でした。
「北泉寮」は指定文化財なので取り壊しにはならないと思いますが、今年の同窓会を最後に中には入れなくなります。 寂しい!!
在学中は北泉寮の中の女子更衣室の押し入れから、裏の玄関まで、蜘蛛の巣をかき分けながら縁の下を探検したり、美術の授業でミケランジェロのレプリカを模写した場所。夏季学校にあたるバイブルキャンプで宿泊した場所。バザーのあと片付けで、山ほどのお皿を洗った場所。卒業写真を撮った場所。少人数の学校なので、卒業式は小中高、合同です。
卒業して半世紀、いつも学校に行けば、どっしりと出迎えてくれる「北泉寮」。
建物も人間も寄る年波には勝てない。分かってはいますが、本当寂しいです。
せめて、私が生きている間は、どうか、どうか、そのままで・・
「北泉寮」いい思い出をたくさん、ありがとう。
米軍海外事業部 Y. M.