私の伯父さん

天然甘味料が届いた。

送り主は母の兄、つまり私の伯父さんである。

この前は牡蠣、その前は天津甘栗、その他お米にみかんや果物の詰め合わせ等々、2か月に1回もしくは多い時で毎月のように我が家に品物が届くのである。

三重県の伊勢に近い田舎町に一人で暮らしている。3年前に奥さんに先立たれ、90歳の高齢ながら週に2,3回介護スタッフのお世話になるものの、あとは身の回りのことをほとんど一人で行っている。同年代の他のご老人に比べ、物忘れもあまりないししっかりしている。

伯父さん曰く、何年か前、郵便局に入ろうとしたその時、頭上の何もない空中から伯父の今は亡き父親(私の祖父)の「良子(私の母)をよろしく頼む」という声が突然聞こえたらしい。

しかも、生きているときの生々しいありのままの声だったとのこと。そういう不思議な体験談を母を通じて聞かされてからというもの、頻繁に贈り物が届くようになった。品物だけではない。1日に何回となく電話がかかってくる。全て母親の良子目当てである。他愛もない世間話が延々1時間ほど続くときもある。私の母も近年めっきり年を取り、歩くのも杖を頼りにやっとこさといった様子である。家に一人でいる時間が多い母は、伯父さんから電話がかかるたびに寝ていようがトイレに入っていようが電話に出る。だから、1日5本も6本もかかってくる電話がたまたま何時間も途切れた場合に伯父の身に何かあったんじゃないかって心配し、気が気でない様子。伯父も伯父で我が家のケーブルの電話コンセントのスイッチが何かの拍子に「切り」になり固定電話が繋がらなくなれば、すぐさま私の携帯に半ば怒り気味に電話してくる。伯父も母と同じように電話の相手のことを心配している。つまり、意識的にあるいは無意識であるにしても、二人は「思いやり」というホットラインで結ばれている。

伯父さん、元気で長生きしてください。お返しは何一つ出来ていないにもかかわらず、いつも美味しいものを送ってくださり、ありがとうございます。

建物総合事業本部 山畑 道憲