私が小学校4年生のときの話です。
学校から家に帰ると玄関に見慣れないダンボールの箱がありました。
「何やこれ?」と思いながら中を覗き込むと同時に部屋の奥から二つ年下の妹が大きな声で「姉ちゃん!おかえり。この黒い子が『くろもんちょう』で、こっちの茶色い子が『こちゃらん』やで!」とダンボールの中にいた子猫の紹介をしてくれました。
何や知らんけどもう子猫に名前つけてるやん。とあっけにとられている私を見た母が、「妹が学校の帰りにゴミ捨て場に捨てられていた子猫を見つけて拾って帰ってきた。」と話してくれました。
実家では動物を飼うことができなかったのですが、猫を飼いたいという妹の猛烈なアピールが母を動かしたのかは定かではありませんが、母が自治会長さんと話をして「期限付きでなら。」ということになり『くろもんちょう』と『こちゃらん』は3ヶ月の間私たちの家族になりました。
我が家では人であれ、動物であれ家族が増えると一番仕事が増えるのは母です。
その母から「子猫のお世話はあなたたちでしなさいよ。お母さんはしないからね。」と直ちに命令が下り妹と二人で子猫たちのお世話表なるものを作り、ごはんをあげたり、トイレの掃除をしたり、一緒におやつを食べたり(笑) と楽しい日々を送っておりました。
そんなある日、父に「子猫たちをもらってくれる人が見つかった。」と告げられました。期限付きで子猫を飼うことになっていたということを頭ではわかっていても、感情がついていきませんでした。
私も妹も「嫌や」と言って抵抗しましたが、そんなわがままは通りません。
母が自治会長さんと約束した3ヶ月後にくろもんちょうとこちゃらんは、父の知り合いに貰われていきました。
出会う喜びと別れる悲しみを私に教えてくれた「くろもんちょう」と「 こちゃらん」に感謝です。
建物総合事業本部 大阪支店 主任 田中理絵子