先日FACEBOOKでサッチモ (Louis Armstrong) の曲がアップされていて、
思わずクリックして聞き入ってしまいました。
お若い方はサッチモと言ってもピンと来ないと思いますが、
往年のジャス・コルネット奏者です。
”What a Wonderful World” をしゃがれ声で唄っている、
丸顔の黒人歌手といえば分かって頂けるだろうか。
ニューオリンズの貧困街で生まれ、子供の頃にクリスマスのお祭りに浮かれて、
悪ふざけでピストルを乱射して少年院に送られ、そこでコルネットと出会います。
しかし、貧困で育ちながらも、決して屈折せず、力強く、
底なしに明るい性格はその音楽にも通じています。
スキャットを最初に唄ったのもサッチモです。
本当は歌詞を忘れて即興で ♪ダバドゥビ♪シュルル♪ウン♪ダッダンダ~♪
とやったら観客に逆に受けて、それから、いろんな歌手が使うようになりました。
1930年代はまだ人種差別が法律で容認されており、
劇場の入り口も別々、同じホテルには泊まれない、
等様々な差別や迫害を受けながらも、
そのことには一度も反論も抵抗もしなかったと聞きます。
そんな温厚なサッチモも、ただ一度だけアイゼンハワー大統領に
真っ向から講義したことがあります。
その逸話をインターネットから引っ張りました。
1956年初のアフリカン・ツアーを行なった際、
当時まだイギリス領だったガーナのコンサートで黒人たちの暴動を鎮圧する
警官隊の暴力を目撃し、大きな衝撃を受けます。
そして翌1957年には、自らの国アメリカで
黒人少年の高校入学を拒否したことから始まった
リトル・ロック高校事件が起きました。
(この事件から、いよいよアメリカ全土が公民権運動の争乱に
巻き込まれて行くことになります)
この事件にショックを受けた彼は、事態を解決できない大統領を批判し、
政府主催のソビエトへの親善ツアーをキャンセルしてしまいます。
多くの黒人アーティストは、この時世論の非難を気にして
はっきりとした意思表示をしようとはしなかった中で、
彼は一人その意志を貫いたのです。
(サミー・デイビスJr.は、この時ツアーに参加しています)
米軍事業部 係長 Y. M.