小学生の頃、祖母が入院するとの連絡を受け母が妹を連れて実家(信州)に帰ったことがありました。
それが私の遠足の時期と重なってしまい、私は一人では思うようにおやつも買いに 行けず、戸棚にしまってあった食べかけのお菓子やお茶菓子などをリュックに 詰め込みました。
そして夜、父が帰宅。
「あれ…理絵お前明日遠足なんか」と言いながら、リュックの中を覗き、しばし無言…。
私は楽しみにしていた遠足に母が作ってくれるお弁当がないことや一人で思うように おやつを買いに行けなかったことなど、小さな体にイライラをいっぱいためこんで、 父の言うことに答えることもなくそのまま寝てしまいました。
翌朝、いつも通りに起きると見慣れないエプロン姿の父が台所に立ち私のお弁当を作って
くれていました。
「おぉ~理絵起きたか。おはよう。今日はお母さんの代わりにお父さんが遠足に持ってく 弁当作ったからな。うまいぞ!」と言ってきたのでちょっとワクワクしながらお弁当箱の 中を覗くと見事な茶色いお弁当でした(笑)
朝食を食べ、父が作ってくれたお弁当をリュックに入れようと思いリュックを開けると お菓子のラインナップが、おまけのついたお菓子、小さいチョコレート、ポテトチップス などに変わっていました。
私は嬉しさのあまり「お父さん!私が寝た後、スーパーにお菓子買いに行って
くれたん!?」と聞くと父は少し照れくさそうに「まぁな」と一言。
この遠足は忘れることができません。
私のためにお菓子を買いに走り、お弁当まで作ってくれた父に感謝の気持ちで
いっぱいです。
まだ、このときのお礼を父に言えていないので、近々伝えようと思います。
「お父さん ありがとう」
建物総合事業本部 大阪支店 主任 田中理絵子