丹後の港三景

バイクが好きで、しばしばツーリングするのですが、よく行くのが丹後半島。
私が住む大阪北部からは、国道173号を北上し、笹山エリアを抜けて国道27号、京都府舞鶴市を経由して、天橋立がある宮津市へ。そのまま国道178号に入れば丹後半島を一周できます。
下道オンリーで経済的ですし、大阪市内や京都市内といった渋滞エリアを通らずに済むので、気楽に出かけられる気に入りのコースです。

この丹後半島、今は観光地として有名ですが、太古の時代は、大陸や半島からの文化をいち早く取り入れた先進地域。
神明山古墳、網野銚子山古墳など、弥生時代後期から古墳時代にかけての史跡も多数。かつてはタニワ国と呼ばれ、ヤマト王権とは独立した勢力が根を張っていたとの説も。

先進文化を取り入れられたのは、やはり、良い港がたくさんあったから。
天橋立も、今は日本を代表する景勝地ですが、古代は大きな港だったとか。
いわゆる潟湖と呼ばれる内海なのですが、昔は、波風のおだやかな内海が、荒天時の避難場所としてはもちろん、潮待ちや風待ちの際の待機場所としても重宝されたといいます。

天橋立は現在、港としては利用されていませんが、その繁栄の痕跡として、ごく近くに丹後一宮・籠神社が鎮座しています。籠神社は元伊勢(天照大神が伊勢神宮に遷る前に祀られた場所)の一つですから、伊勢神宮より由緒は古いのかもしれませんね。

お次は、景勝地・丹後松島の風景。この近くに竹野という地域があり、ここもかつては潟湖で、天然の良港であったそうです。近隣には墳長190メートルという巨大な前方後円墳、神明山古墳があり、繁栄の跡を残しています。(写真2挿入)

最後は有名な「伊根の舟屋」。現役バリバリの漁港です。
湾にせり出した舟屋(船庫)の上に住居を設けるという、ユニークな作りの民家が多数並ぶ、おそらくは、ここでしか見られない風景。

丹後半島は適度なアップダウンとワインディング、少ない交通量(平日に限りますが……)と、バイク乗りにはありがたいエリアなのですが、歴史・民俗学ファンにとっても、非常にありがたい地域なのです。

建物総合事業本部 大阪支店 志方正紀