今回は琵琶湖疎水を船で辿る旅に妻と出かけました。
昨年、およそ70年ぶりに旅客船の運航が再開されてから大人気のようですが、
何とか今年は予約がとれました。
あいにくの雨となりましたが、滋賀県の大津から京都の蹴上までを小型船でクルーズです。
昨年このブログで紹介した蹴上発電所の発電にも利用されている琵琶湖疎水は
東京遷都後に衰退していた京都の復興事業のひとつとして引かれたものです。
水力や引水の事業の他、その昔は運河として
荷物や旅客の運送に利用されていたのですが、
この琵琶湖疎水船が舟運の復活というわけです。
琵琶湖疎水は第一疎水と第二疎水があって
運航されているのは第一疎水です。
上り便と下り便があるのですが、
今回は約20kmを1時間弱で下るちょっとした船旅です。
第一疎水は1890年に完成したもので、トンネルが四つあるのですが、
2,436mある第1トンネルは当時の日本最長で相当の難工事だったそうです。
外国人技師に頼らず、日本人だけの手によって行われた土木工事だったのですが、ガイドの説明によると当時の技術では真っ直ぐにしか掘れなかったということです。
トンネルの入口の上には扁額(へんがく)という
伊藤博文など明治時代の政治家などが書き下ろした
貴重な石の額が掲げられています。
トンネル内の右側には上に電線、下にロープが走っており、
動力がない時代、琵琶湖に向かうときは
ロープを引っ張りながら上ったとのことです。
現在はエンジンがついた船で運航していますが、
水深が1mと浅く、断面がすり鉢状で航路が狭くなるため
小型船でも高度な技術が必要とされるそうです。
もともと船に乗るのも好きなので、なかなか珍しい体験ができましたが、
春は桜、秋は紅葉のトンネルもくぐることができて
もっと素敵な体験ができるようです。
そして終点の蹴上に到着するわけですが、
それから近くにある南禅寺あたりをブラブラしました。
南禅寺の境内には疎水の分線が流れている水路閣があります。
これはご存じの方も多いでしょうが、
映画やドラマのロケ地としても有名です。
そして南禅寺と言えば湯豆腐。
大阪生まれの関西人でいつか老舗の湯豆腐を食してみたいと
漠然と思っていたのですが
ようやくその機会が訪れました。
その老舗のうちのひとつに入ってみまして
湯豆腐とひきあげゆばの両方を注文したかったのですが、
そのお店では1テーブルにつきコンロをひとつしか用意できないため、
鍋は別々に注文できないという何だか理不尽な制約があったのです。
悩んだ末、ひきあげゆばの方が食べたかったので
今回は妻の意見を無視してそちらを頼みました。
結局、湯豆腐はまたの機会になってしまいましたが、
今回は先人の知恵と情熱に感謝といたします。
建物総合事業本部 K・H