アンパンマン

先日JRで神戸駅に行こうとしていた時の事です。途中から乗ってきた母子連れが私の向かいに座りました。

五歳くらいの男の子で行儀よく席に収まり窓の外を眺めています。

お母さんが男の子に「いい、さっきも言ったけど今日はね、おばあちゃんの家へ行くから、改札出たら左、北側に行ってバスに乗るのよ、右に行っちゃだめよ、分かった」と、言い聞かせていました、男の子は神妙な表情で聞いています。

電車が神戸駅に到着しました。母子連れは降りて改札に向かっていきます。私も母子連れの後から改札に向かいました。

男の子が急にきょろきょろしだし、改札を通った所で母親の手を振り切り「アンパンマ~ン」と叫びながら右に向かって走り出しました。母親は慌てて追いかけますが男の子は全速力で走って行き、それを追いかける母親の姿も私の前から消えました。

神戸駅から南東に10分ほど歩くとアンパンマンミュージアムがあり、駅前にはアンパンマンの看板や石像が立っていて、子供たちを誘っています。

私は「多分あの男の子、アンパンマンミュージアムに連れてきてもらったことがあるんだろうな、そりゃあれぐらいの歳の男の子はアンパンマンが見えたら、言われた事なんて忘れて走って行くわなあ、おかあさんはそれがわかっていて、何度も言い含めたのだろうけど、無理だったな」と思い、走ってく男の子の嬉しそうな後ろ姿と、後の落胆の落差を考えると、可愛らしさに思わず笑みが込み上げてきました。

あの男の子、無事におばあちゃんと会って、アンパンマンミュージアムに連れて行ってもらえるといいね。と思いながら自分の目的地に向かいました。

いつまでも子供たちに愛され続けるアンパンマンを描いてくださった、故やなせたかし先生に感謝です。

建物総合事業本部  大阪支店 公下 修一