桜並木

大勢の人でごった返す大阪なんばの街。平日も観光客でにぎわい、通り一面を通行人が埋め尽くします。笑い合いながらたこ焼きを食べる若者たちは、空になった容器や串を時折道路に捨ててくれます。

毎日の習慣として箒とちり取りを持って周辺をうろつく際、私はたくさんのたばこの吸い殻とともに散らばるそれらのごみを拾いながら、こんな光景もなんばらしいと思ったものでした。

4月に入ったころの職場からの帰り、最寄りの駅までの道を歩いているとき、私はふと周りを見回してみました。まだ電車の動いている時間にもかかわらず、なんばの街は終電後のように閑散としていました。近所の店が次々と閉まり、駅まで続く小洒落た地下街も、いまやシャッター街と化していました。

地下鉄ではソーシャルディスタンスの言葉のもとに、乗客たちがひとつひとつ間隔を空けて座っていました。地下鉄に揺られる間、私は咳が出ないように頻りにつばを飲み込みました。

自宅の最寄り駅に着き、小さな川沿いの道を歩いていると、微かに甘い匂いが鼻につきました。

4月4日は桜が満開でした。自宅へ向かう道の桜並木は、今年も変わらず花を咲かせていました。

こんなご時世、仕事帰りに遊びに行くこともできませんが、毎年目を楽しませてくれる桜と、そして桜の木の手入れをかかさない職人に、感謝です。

大阪支店 建物総合事業本部 M. U