以前、弟の住む九州、熊本県へ行ってきたときの話です。
弟は自衛隊員でして、数年に一度は転勤があります。兄の私でも時折、弟が今現在どこに住んでいるのか思い出せないこともあるくらい、頻繁にあちこち飛び回ります。
今回私が行ってきたのは……自衛隊とはまったく関係のない、地獄温泉です。
硫黄臭のするガスが発生して草木の生えない地獄地帯が出来上がることが名前の由来だそうです。
私は家族とともに昼間に大阪を出発し高速を乗り継ぎました。
夜、現地に着くころには皆くたくたに疲れていました。途中で休憩がてら立ち寄った公園があまりに大きく、直射日光の降り注ぐ中を歩き回ったのが原因かもしれません。
そして楽しみにしていた地獄温泉。
これぞ温泉! 湯気の立ち込める中を進むと、硫黄特有の臭いに包まれます。銭湯のようにかけ流し用の湯がないものですから、直接湯船から風呂桶で湯をすくいます。
火傷するんじゃないかってくらい熱かったですね。
しかし現地の方々は平然と湯船に浸かっているご様子。
私も熱いのを我慢して湯に浸かりました。
いざ入ってしまえば体が慣れてくるのですが、季節が夏だったこともあり、ものの数分で私は茹でたタコになりました。その後、烏の行水のごとく温泉をあとにしました。
次の日は観光です。
阿蘇山に登りました。景色がとても良かったです。
写真を撮ることが妹の趣味でして、せっかちな父が時間の許す限りいろんな観光地を見て回ろうとするのに対し、妹は数万円もするカメラを構えて動こうとしません。
その間、私と弟は我関せずとばかりに、スマートフォンを構えて写真を撮ってみたり、ゲームをしたりして暇をつぶしていました。
そんなことをしているうちに、意見がまとまったのでしょう。
夕方に再び戻ってくることにして、ひとまずふれあい動物園へ行くことになりました。そこにはたくさんのペンギンやカピバラがいました。
私は写真を撮ろうとしましたが、これがなかなか上手く撮れません。シャッターチャンスと思ったら写真を撮る瞬間にそっぽを向かれたり、とにかく動き回るもので、写真は妹に任せることにしました。
空が夕焼けに染まるころ。
茜色の空を眺めていると、時間がゆっくりと過ぎていくように思いました。
たまにはのんびりと田舎を観光するのも楽しいものです。招待してくれた弟と、一緒に行ってくれた家族に感謝です。
建物総合事業本部 大阪支店 上野 倫士