携帯電話

 ある現場での作業中、剥がした両面テープを
何気なく胸のポケットに入れてしまったのが悲劇の始まりでした。

 カーペットの張替え工事を行っていた時の事です。
この時は、現場がエレベーター内という事で、いつもの様に接着剤で張るのではなく、
両面テープを使用しての作業でした。
作業中に出た、不要となった両面テープの切れ端をポケットに入れたまま・・・・・

作業立会いしている間、普通に携帯電話のやり取りをしていた中で、
何度目かの着信に出ようと思い、二つ折りタイプの携帯電話を
ポケットから取り出し開こうとした時、何故か携帯が開きません。

「こんな、セキュリティー付いてたかなぁ?」と思いつつも、今も着信中!!!
焦れば焦るほど訳が分からず、思い切って無理やり開いてしまいました・・・・・

「パリッ、」何とも言えない軽い感じのプラスチック音と共に携帯電話が開くと、
そこには目を疑うような光景がありました。

何とそこに在る筈の「0」の文字キーが在りません。
ふと視線を画面に移すと、そこには両面テープとそのテープに張り付いた
「0」キーの裏側がありました。

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使っていた両面テープの粘着力があまりにも強く、
キーがはがれてしまったのだと思いますが、
どうしてポケットに入れただけの両面テープが
二つ折り携帯の間に入ってしまったのか・・・・・?
こんなことが起こるんだなあと今でも信じられません。

着信があった事もすっかり忘れ、しばし放心状態でいると再び着信が・・・・・
気を取り直し電話に出ると、

相手から「ちょっと前にも電話したけど、出なかったね」

「まずい!」と思いつつ「実は、新手のセキュリティーが作動して・・・」とは
言えるはずもなく、素直にお詫びを申し上げました。

通話は普通に出来るので、その後もしばらくは使用を続けていましたが、
さすがにキーが無いので入力が困難なのと、使用中に携帯を落としてしまい、
更なるダメージが加わり、

交換する決心が付きました。

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自分が厳しい時を共に過ごし、長い間ビジネスパートナーとして
頑張ってくれたとても愛着のある携帯電話だったので感謝の気持ちを持って
交換する事にしました。

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米軍事業部 主任 宇田川 政幸