昨年末からの宿題? 「万葉歌碑」めぐり

令和改元時のブームに乗っかったわけではありませんが、以前から「万葉集」に興味があり、きちんと勉強したいと思っていました。

とはいえ、座学のみだと面白みにかけます。ということで、昨年末から計画していたのが、全国各地にある「万葉歌碑」をめぐって、旅行しながら学んでしまおうというもの。

「万葉歌碑」とは、歌に詠まれた土地や、詠み人にゆかりのある地に建立された石碑。2004年の段階で、全国に1900基以上あったといいます。現在、どれだけあるのかはかり知れず、旅の“ネタ”にはこと欠きません(笑)。

そう考えたのもつかの間、春先からのコロナ禍のせいで、私のもくろみは頓挫。唯一行けたのが、昨年末に訪問した兵庫県明石市の万葉歌碑。実家からさほど遠くないので、里帰りの際に寄っただけですが……。

明石市といえば、「明石市立天文科学館」が有名。

日本標準時子午線上に建てられており、同施設の大時計に刻まれる数字が、日本全国の標準時間となっています。この科学館の裏手に、「柿本神社」が鎮座します。

ご祭神は、歌聖と称される柿本人麻呂(人麿)公。飛鳥時代に活躍した、万葉集を代表する歌人です。「柿本神社」の創建は1620年、人麻呂の大ファンであった明石城主・小笠原忠政公がお祀りしたそうです。

同神社の境内と、隣接する月照寺というお寺に人麻呂の歌碑があります。

「あしひきの 山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む」

百人一首にも採用されているので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

もう一つ、

「ともし火の  明石大門に入らむ日や 漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず」

こちらは明石の海を読んだ歌ですね。

明石市には、ほかにも万葉歌碑があります。柿本神社から10㎞ほど西の海辺にある「住吉神社」。

「往きめぐり 見とも飽かめや 名寸隅の 船瀬の浜に しきる白波」

この地にあった、風よけの港の風景を詠んだ歌で、作者は笠金村。奈良時代の歌人です。

確かに、浜に面した鳥居を望む風景は素晴らしいもので、近くには今も小さな港があって、往時をしのばせます。

このように、素晴らしい歌を残してくれた万葉歌人と、数えきれないほどの歌碑を建立してくれた先人に感謝しつつ、今年後半こそ、さらなる万葉歌碑めぐりの旅を実現させたいものです。

建物総合事業本部 志方 正紀