最近、公共交通機関内での子供の泣き声やベビーカーに対し
何とかしろという声と、子供は国の宝である「もっと多めに見てやれ」
という声がマスコミ上を賑わしている。
私自身は後者の考えであるが、最近よく利用する区内循環バス内で、
バス運転手のちょっとした心づかいが、子供の泣き声をぴたりと止め、
乗客野大人たちが一瞬ほほえむ光景を見ることでき、
それ以来子供と乗り合わせたときには、
自分自身に一つのルールを課すことにしている。
恒例としている早朝のウオーキングも年を重ねると、
ちょっと疲れを感じる時もある。こんな時決まって利用するのが、
循環バスである。8時前のこのバスは保育園児をつれたお母さんたちの利用が多く、
降りるバス停も自宅前と決まっている。
ある朝、いつもの男の子がご機嫌斜め模様で乗ってきた。
停車ブザーは手前の停留所をバスがでたらすぐ押すのが通例だったことから、
その日もこの手順でブザーを押した。
その瞬間、子供が泣いてしまった。
家内と二人で懸命になだめたが降りるまで泣きやまなかった。
子供の楽しみを奪ってしまった自分の愚かさを恥じた。
その後数日して、今度は女の子が乗り合わせた。
この子もきっとブザーを押すことを楽しみにしているに違いないと思い、
家内にもサインを送り、ブザーに手をかけないことにした。
悲劇が再び起こった。誰だが押したのだ。思ったとおりまた泣かれてしまった。
その後、再び女の子が同乗したときである。
またまた後部座席の大人が押してしまったときである。
女の子の鳴き声は前にも増して大きかった。
このときである。停留所手前わずか30メートルくらいのところで。
運転手が「お嬢ちゃん、押してごらん」といって、
赤いブザーランプを消してくれたのである。
満面に笑みを浮かべた子供の顔が忘れられません。
監査役 千葉 久公