大阪から奈良へ赴く場合、近鉄電車を利用するのが一般的。
ただ、近鉄奈良線はいわゆるミナミと奈良市内を結ぶ路線で、キタ、すなわち梅田エリアからは、地下鉄等で難波まで出て、そこから近鉄電車に乗り換えなくてはなりません。
一方で、梅田エリアにあるJR大阪駅から、「大和路快速」を使えばJR奈良駅に直通、時間も約50分と、難波で近鉄に乗り換えるよりも早く奈良市内に到着します。もっとも、東大寺や春日大社といった観光名所には、近鉄奈良駅のほうが近いのですが……。
そんなJR大和路快速、大阪駅から天王寺駅までは大阪環状線を走り、関西本線へ進入、そのまま奈良駅を目指します。優等列車だけに停車駅も少なめですが、その停車駅が、古都へ向かう電車らしくユニーク(?)。名付けて、「怒涛の“寺”4連発!」。
まずは、環状線から関西本線へと分岐する「天王寺」駅。
駅周辺はキタ・ミナミに次ぐ繁華街。聖徳太子が創建した四天王寺があることから、地域一帯が天王寺という地名になりました。
続いて停車するのが、「久宝寺」駅。
大阪府八尾市にあるのですが、駅名のもととなった「久宝寺」なるお寺は、今はもう存在しません。聖徳太子がこの地に建立したという言い伝えはあるものの、どこにあったのか不明。地名のみに痕跡をとどめています。
そして、そのまま奈良県に突入し、次に停まるのが「王寺」駅。
この「王寺」ですが、こちらも今はありません。同駅から1㎞ほど南へ下った場所に、聖徳太子創建の「片岡王寺」があったといいますが、1000年ほど前に焼失したそうです。
そして、4連発の最後を飾るのが「法隆寺」駅。
言わずと知れた世界遺産「法隆寺」の最寄り駅。もはや説明不用、現存する世界最古の木造建築物群として、今なお輝きを放っています。
近代になって拓かれた、近鉄電車の道のりも快適で素晴らしいのですが、大和路快速は大和川に沿って、いにしえより存在した街道を走ります。古代史ファンの心をくすぐってやまない、大和路快速に感謝です。
建物総合事業本部 大阪支店 志方正紀