薩埵(さった)峠越え その2

小田原駅から東海道線に乗り込み、今年も旅が始まりました。
熱海でJR東海の東海道本線に乗り換え、各駅停車に揺られること1時間、
途中、函南駅を過ぎたあたりから、ところどころに富士の姿が見え始め、
三島に近づく頃から富士川を渡るまで、
車窓から雄大な姿を眺めることが出来ます。

あまりの雄大さに、時々電車を途中で降り、
ホームから写真を撮ったりすることもしばしばです。

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途中駅の跨線橋から見る富士山

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富士川と富士山

由比駅を降りると、駅前には桜海老のモニュメントが迎えてくれます。   
ここは、桜海老の水揚げで有名な町とあってあちらこちらで名物、
桜海老を売る店を目にすることが出来ます。

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この辺りは昔の宿場町の面影を残す古い町並みが続いており、
旧東海道を隣の宿場町、興津宿の方面へ歩き出すと、ほどなく、
名主の立派な屋敷跡である小池邸、更に進むと左手には
桜海老料理で有名な倉沢家さんが有ります。
県外からも人が訪れ、昼前から待ちの列ができる程の有名店です。

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その先、明治天皇がご訪問の際休憩を取られたと言う本陣跡を過ぎると、
右手に急こう配が現れます。
そうです、ここが難所といわれる薩埵峠の入り口です。

登り口には木のつえが置かれており、
今までのなだらかな登り坂から一変して急坂を登ることになり、
自然と息が荒くなってきます。日頃の運動不足の身にはこたえる瞬間です。

車のすれ違いにも苦労するほどの細い道の両側の斜面にはみかんが実り、
しばらく急こう配を登っていくと・・・

眼下には駿河湾が現れます。
その広さと、美しさに魅せられ、ふと足を止めて振り返ると、
何とそこには日本一の山、富士山までが視界に入って来ます。
峠の展望台までは、もうほんの少し・・・

真冬でも汗をかきながら展望台駐車場に着くと、
ここからは登山道の様な未舗装の道になり、更に峠越えの雰囲気が漂います。

そしてやっとたどり着いた展望台からは、
先程目にした富士山とは異なる更なる景色を見ることが出来ます。

足下には、東名高速道路と国道一号線がカーブを描きながら走り、
その向こうには・・・

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今年は、薄富士・・・・・・

私が、勝手に師と仰ぐ歌川広重の筆、「由比薩埵峠」の景色その物です。
辛い坂道を登り切った人だけが目にすることの出来る絶景だと思います。
(車でも登ることは出来るのですが。)

しばらく景色に見とれてしまいましたが、目的地はまだ先ということに気付き、
後ろ髪を惹かれる思いで先に進むことに・・・
駿河湾を見下ろすポイントで恒例の休憩タイム、

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この場所で、ぼーっとするのが楽しみな一時なのです・・・
この先は、早咲きの寒桜と駿河湾、遠く三保半島を眺めながら
興津宿まで下り薩埵峠越えは終了となります。

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ここからは、時間を優先して次の目的地、三保の松原までバスで移動・・・

三保の松原入り口でバスを降り、少し歩いたところに御穂神社が有ります。
景勝地、三保の松原より「神の道」と呼ばれる木道で結ばれた神々しい神社です。
道の両側に植えられた高い松並木の間を歩いていると、
心が落ち着いて来るような気がします。

「神の道」の先に広がる、三保の松原と雄大な海の景色が見える瞬間は、
いつ訪れても「わーっ!」と声を上げてしまいます。
砂浜を海の方へ進むと、また海から続く雄大な富士山が見えてくるのです。

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一年の始まりにこれらの場所を訪れると、心が本当に落ち着き、
そしてまた頑張ろう!という新たな気力がわいてくる、自分にとっての
「パワースポット」なのかも知れません。

今年もまたこの場所に来ることが出来、
無事、薩埵峠越えを終え、
ここ、御穂神社にて一年の無病息災を祈願することが出来たことに
感謝の気持ちでいっぱいです。

米軍事業部 係長 宇田川 政幸