母の日

「何もいらないよ」

「なんでそんなこと言うの」

「じゃあ、一緒で」

「一緒じゃだめ。別個のものやん」

ここ数年、この時期になると同じような会話をしているような気がする。

年々、目に見えて衰えてゆく母親。日に日に別れが近づいているのは間違いないのに心のどこかに信じたくない自分がいる。

4月24日で満89歳。行動範囲も次第に狭くなり、去年までは月に一回、辛うじて手押し車を押しながらでも近くのかかりつけの医院へゆっくり休み休み歩いて行けていたのが、今は自分の部屋と台所、トイレ間の往復の繰り返しだけ。陽光にも当たらないからか顔色もあまりよくない。でも、毎日始発に乗って出勤する私の朝ごはんの支度をしてくれる。

感謝しかない。

「誕生日」と「母の日」があまりにも近いので何かプレゼントをするのも一緒でいいと遠慮がちな母は言うが、やはりそこは別々。誕生日にはケーキとお小遣いを、今年も定番ではあるが母の日にはカーネーションをプレゼントした。お花が好きな母は毎日水やりを欠かさず、少しづつ花開くカーネーションを楽しみに見つめている。 ありがとうお母さん、いつまでも長生きしてください。

建物総合事業本部 大阪支店 Y.M