三井物産の人工池でふ化した10羽のうちスッポンに足を食いちぎられた
「モカ」、
割りばしの先に柿の種ほどしか残っていなかった袋が1ヶ月もすると小さな水かきに成長した。
1mの歩行がやっとだったモカも10mの歩行が可能になった。
こんな時、何時も姉のように側に付きっきりだったもう1羽の姿がぷつりと消えた。
そのワケは2羽が飛び立つて初めて分かった。
二つ目のまさかは、
思いもよらない旅だちである、8月23日、
この日を最後にモカは、堀から消えた。
怪我の発見から40日目である。
モカは何時も私たちが
到着する前には必ず姿を見せていた。
和気清麻呂像前の草むらでエサを食べていた。
2時間も同じ場所に居ることから、
最近では、カメラを構えるファンも出来たほどである。
モカの日課は、着地訓練と飛行訓練の連続だった。
片足飛行からの着地のダメージを和らげるため、
土手の10m手前に着水し、
そこから土手まで飛ぶというスタイルの繰り返しだった。
低空の飛行は、3キロほど離れた警視庁前の堀までで、
ここには、姉ガモが待っていたのだ。姉ガモは旅だちの訓練をさせていたのである。
まさかのその3はあるのか。
北海道のサケの遡上や
屋久島のウミガメの産卵などの習性から見ても、
人工池での産卵のDNAを持つカルガモのなかでも、
ケガした2羽は、40日も多く堀の生活が続いた。
DNAの強さは、相当なものと思う。
もしも元気で育つてくれれば、
まさかの第3のステージがあるのカモ。
夢を信じて、冬の到来を待ちたい。
監査役 千葉 久公