今年の夏山は例年と些か趣を異にした。
いつもの山仲間との事前調整がうまく行かず今夏は各自好きな山に行く事になった。
そこで私は以前から希望を抱いていた妹達(2人)との登山であった。
妹達2人は毎年一緒に歩いているのだが私は何時も都合が悪く
一緒に歩く機会が今迄なかったのである。
運よく今回は甥、姪も加わり5名に依るファミリー登山をする事が出来た。
登る山は深田久弥の百名山の中で貴婦人と称され、
なだらかな稜線とカールのある美しい山容と高山植物の豊富さで
人気のある南アルプスの仙丈岳(3032.6m)となった。
日程は体力とも相談、山中2泊3日の余裕のあるものにした。
お陰で歩きはゆっくりで景色や花などを楽しみながらとなり、
山小屋では久方ぶりの兄妹で昔を偲ぶ楽しい会話が出来た。
私と上の妹は母が逝った歳を越え下の妹は限りなく近づいている。
母には2人の姉がいた。母が病弱だったためか稼業が忙しかったためか
伯母達がよく家に来て何かと手助けをして呉れている姿を見て
母達は姉妹仲が良いなーと子ども心に思っていた。
下の妹は終戦の年に生まれている。
厳しい食糧難の時代に5人の子供を育てる事はさぞや大変であったろうと思う。
自らは食うものも喰わず子供達に与えていたと言う日本の母親の話は
よく聞いたので我が母もそうして育てて呉れたのだろうと思っている。
古希を過ぎこうして兄妹揃って山歩きが出来たのも
身を削ってまでして仲良く健康に育てて呉れた母のお陰かと
感謝の念を深く抱いた今夏の山歩きであった。
兄妹3人 甥・姪、との山頂
藪沢コースを登る 途中現れたカモシカ
振り返れば鋸岳 振り返れば甲斐駒ケ岳
仙丈カール&山頂 山頂から俯瞰した仙丈小屋
ガンピ グンナイフウロー ヨツバシオガマ
イワギキョウ ハクサンイチゲ ナナカマド
参与 菅沼 康光(元 株式会社安藤建設 取締役)