清酒発祥の地で、亡父のお供え物探し

父の命日が近づき、墓前に供える気の利いたものを用意すべく、兵庫県伊丹市の「伊丹酒蔵通り」を訪問しました。

伊丹市は兵庫県南東部に位置するエリアで、大阪国際空港があることで有名。西国街道沿いということで、古来より交通の要衝として栄えてきました。

そして、意外と知られていないのですが、「清酒発祥の地」でもあるそうです。

伊丹市観光協会のHPによると、

――慶長5年(1600)、山中新六幸元なる人物が、伊丹の地で初めて双白澄酒(もろはくすみざけ=清酒)を造り、大いに売った――という記録が残っているとか。

その後、伊丹の酒造りは大いに栄え、正徳5年(1715)には72人の酒造家がおり、約6万石(1080万リットル)の清酒を生産。最盛期の文化元年(1804)には、酒造高は約1999万リットルに上ったとのこと。

もっとも、清酒自体は15世紀ごろから存在したようですが、市井の人々の口に入るほど普及させたのは、伊丹の酒造家の功績ということで、「清酒発祥の地」を謳っています。

さて、今回訪れた「伊丹酒蔵通り」は、JR伊丹駅から西に伸びる石畳のストリート。町家をイメージした飲食店が並び、伝統を受け継ぐ酒蔵も2軒現存しています。その一つが「白雪」ブランドで知られる「小西酒造」。

同社が運営する「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」は、江戸時代から続く酒蔵をリノベーションしたミュージアム兼レストラン。2階のミュージアムでは往時の酒造りを学ぶことができ、1階のレストランでは酒粕を利用した料理や、日本酒はもちろんクラフトビールなども楽しめます。

もう一軒が「伊丹老松酒造」。

江戸幕府の“官用酒”だった「老松」は、江戸時代には民衆の口には入らなかった格式高いお酒。今では誰でも購入できますから、良い時代になったものです(笑)

そして、父のお供え物として選んだのは、「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」併設のショップで購入した「白雪」と「酒蒸しきんつば」。お酒はもちろん、きんつばは、ほんのり日本酒の香り漂う上品なお味。甘いものが好きではなかった父も喜んでくれるでしょう。墓前で父をしのんだ後、現在は、自宅の位牌にお供えしています。

建物総合事業本部 大阪支店 志方 正紀