ちょうど終戦記念日間近ということで、
NHKで詩人の竹内浩三を特集していました。
残念ながら自分は見逃してしまいましたが、なかなかの反響があったようで、
久しぶりに彼の本「愚の旗」を開き、読み返してみました。
もう10年前以上にこの本の出版に携わり、デザイン制作を担当した当時は
仕事としての受け身で内容を読んだりしていましたが、
10年の年をとって読み返すと強烈な印象を受ける詩がいくつもあって、
改めて竹内浩三という人物が現在でも多くの人に読まれていることに
納得しました。
そして、この本の出版に関わったことで竹内浩三という詩人を
知ることが出来て感謝しています。
竹内浩三はちょうど日本が戦争へ進む時代に生まれました。
中学の頃から日常の時間や思想をストレートに詩にして、文学仲間と
同人誌を発表していました。
そして太平洋戦争が始まり、彼は徴兵されますが、軍隊生活の中でも
様々な心情を詩に書いています。
彼自身の死への恐怖、戦争に対する悲しみ、怒り、戦死した友人への思いなど、
長い時間が経った現代でもその詩に込められた力は相当な物で、
読む人の心を揺さぶります。
竹内浩三は昭和20年4月バギオにて23歳で戦死します。
その後、彼の詩集本がいくつも発行され、
その中の一冊に私は運良く関わることができました。
本の制作は短いスケジュールの中で、毎日慌ただしく制作進行していたため、
本が完成してからはしっかりと読むということはなかったのですが、
戦後69年経っても色あせない彼の詩は多くの方に読んで頂きたいと願います。
米軍事業部 沖縄営業所 所長 神谷 卓哉